目指せ♪ドリームステージ(※ネタバレ感想)

関西ジャニーズJr.主演映画「目指せ♪ドリームステージ」の初日舞台挨拶つき上映を見てきた。
関ジュにはそれほど明るくないのだけれど、レギュラー番組のまいジャニを毎週見ているしジャニーズWESTのコンサートバックなどではおなじみの顔ぶれ。去年9月の日生公演「少年たち」では看守長に惚れて室くんのステージフォトを買ったりもしていた。とはいえ松竹座公演にはなかなか行けずにいたところ、今回は東京にも来てくれるということでお邪魔することができた。久しぶりの大西さんの現場♡りゅーちぇーくん大きくなったかな♡みたいな事務所担が軽率に舞台挨拶を見にいったら思いの外映画が良かったのでちょっとその話聞いてよ!そうなの良かったの!!ドリステはいいぞ!!

諸手を挙げて面白い映画だったかオタ以外にも薦められるかといわれると、正直ツッコミどころの多い脚本だし構成も前半が冗長で後半雑に感じるし、西畑くんの演技力とかキャストの説得力でどうにか成り立ってるような感じなのだが、とにかくそのキャストの底力みたいなものが溢れていた。
あと最後に一曲、松竹座のショーの映像がある。唐突に松竹座ライブビューイング。これだけでも一見の価値あり!

チラシの写真などからもっと西畑くん演じる風太が話の中心かと思いきや、他のメンバーそれぞれの物語をしっかり描いた群像劇だった。中でも、個人的には浜中文一くん演じる坂野次郎のキャラクターが良かった。文一くんめっっちゃ良かった!!!

次郎さんは元ホストで今はローカルアイドル小姓ズのリーダーである。登場シーンは二日酔いの寝起き、着崩れた浴衣姿。もう最高である。この時点でハート鷲掴み!次郎さん色っぽい!
次郎さんが何をきっかけに転職したのかは特に明かされていないが、小姓ズの定期ライブでとりあえずトークを仕切るのは次郎さんだ。この次郎さんのだらだら面白くない(という設定)トークの滑り具合、というかちゃんと滑ったというオチがつくような展開が絶妙なのだけど、これ、メンバーのアドリブなんだそうだ。面白くないトークを意図的にそれなりに作れるのは、いうなればデッサンをわざと再構成することのできるピカソ的な技術である。天才か。
また、この埒のあかないトークライブの次に始めるのが、台詞にとりあえずメロディをつけて歌う「とりあえずミュージカル」だが、これもメンバーのアドリブだそうだ。また絶妙によく出来ていて映画の見所のひとつになっている。役の彼らはやる気もなくこれまでつまらないトークしかやっていないためステージ経験や練習はしてないはずにも関わらず、歌い出すと急に見栄えがする。発声も立ち姿も笑いをとるネタもちゃんと出来ている。もちろんそれは役のキャラクターというよりキャストの関西Jr.メンバーの地力である。なので、妙な説得力が生まれる。急ごしらえのとりあえずミュージカルに人気が出る、というちょっと無理な脚本も成立させてしまうのだ。

 

以下、完全にストーリーネタバレの感想*1。一度しか鑑賞していないので台詞等はニュアンスで。

ものすごくざっくり言うと、地域活性化のために作られた地元のアイドルグループ「小姓ズ」に水上風太が加入し、いまいちやる気のなかったメンバーたちがステージに向き合うようになる…という青春アイドル映画だ。小姓ズのメンバーは5人、リーダーの次郎さん、風太の昔馴染みの翔吉(康二くん)、高校生の亮介(流星くん)、トビ職の和正(赤名くん)。5人にはそれぞれの事情があり、交錯しながら展開していく。

次郎さんのストーリーの肝は、元メンバーで今はミュージカルの舞台に立っている成瀬満(優馬くん)との関係である。
もともと小姓ズのメンバーだった成瀬は、ローカルアイドルを抜けてミュージカルの世界へ転向した。といって成瀬もミュージカルスターとして大活躍しているわけではなく、まだ脇役を貰えるようになった程度だ。次郎さんは小姓ズを見捨てた成瀬を憎んでおり、舞台出演を報告しにきた成瀬に「そんな端役でいちいち来んなや」などと自分のことは棚に上げて成瀬を小馬鹿にした発言をする。成瀬が出演した舞台のDVDを見ようともしない。成瀬は寡黙だが、いつまでもうだつの上がらない、やる気のない次郎に対して腹を立てているのか小姓ズを見下していて、風太に「いつまでもそんなとこおったらあかんで」といったようなことを言う。
しかし物語の後半、小姓ズでミュージカルをやることになり、このままじゃ駄目だと心を入れ替えた次郎は成瀬の出演した舞台の映像を再生し、じっと見つめる。真剣にミュージカルに向き合っている成瀬の姿が、次郎の目に映る。そして、次郎さんは自らの足で成瀬の稽古場へ赴き、小姓ズの復活ライブのチケットを渡す。お前のために特等席取っといたるから必ず観に来い、と。真剣に小姓ズに向き合うことにした次郎さんが、そのステージを見て欲しい相手は元メンバーの成瀬なのだ。
復活ライブ当日、ライブといっても小さな野外ステージだけれど、最前列には「成瀬のボケ専用特等席」と手書きで書かれた座布団が置かれてあり、客席に現れた成瀬くんはなんの躊躇もなくそこへ座る。そしてライブが始まり特訓の成果を披露する小姓ズのメンバーたち。次郎さんは踊りながら特等席に座る成瀬を見つけ、今まで見たことのないような表情で顔を綻ばせたのだった…!

ところで次郎さんの物語パートには成瀬以外にもうひとり大事なキーパーソンが登場する。次郎さんの熱烈なファン、アカリさんだ。アカリさんはバーのママをやっている派手目のお姉様で、次郎さんがホストをやっていた頃からおっかけている古参オタである。売れないローカルアイドルになってもライブに駆けつけ、手作り団扇を持ち、グッズを購入し、5周年記念などここぞという公演では気合の入った着物姿で参戦し、声援を送っている。客が殆んどいなくとも皆勤賞で定期ライブに参加し、内容がつまらなくともいつでも盛り上がり、公式サイトに前向きな書き込みをし、いっとき小姓ズに人気が出て次郎のブロマイドが売り切れて自分が買えなくなってしまったときも、最後の1枚を買った女の子に「あなた趣味がいいわねえ!」と次郎の良さを分かち合える人として賞賛の言葉を贈る。公演には毎回訪れるが出待ちやプライベートの部分で干渉しようとはせず、同担拒否でなく他にファンが増えることを喜ぶ。始めはライブの空気も読まずに騒ぐマナー違反の嫌な客かと思いきや、なかなかオタの鑑なのである。そんなアカリさんが個人的に報われることはない。次郎さんがアカリさんに特別なリアクションを取ることはほぼ皆無だ。けれども、とりあえずミュージカルが盛り上がった時には「次郎〜!って叫んでる人おったで♪」と声援は次郎さんの耳に届き、満更でもなさそうにしている描写がある。というかここまでしても次郎さんから認知されてないってひどくない?他メンバーは「アカリさんやろ」って覚えてくれてるのに!?w
後半では、5周年ライブが失敗に終わり小姓ズが解散に追い込まれた際、次郎さんはアカリさんが自分のお店の表に貼った小姓ズファンクラブ会員を募るポスターを剥がしているところを見てしまう。そしてすぐに小姓ズ再結成の署名を募るポスターに張り替えたアカリさんを見て、次郎さんは励まされるのである。ここでアカリさんと次郎さんに直接の会話ややりとりはない。再結成ライブでも、アカリさんが個人ファンサを貰えるようなシーンはない。それでも、次郎さんはアカリさんの地道なファン活動によってステージの上に帰ってきたのだ。オタにとって、これ以上のファンサがあるだろうか。直接届かないかもしれない、勝手にやっている応援活動により、自担がアイドルを辞めずにいてくれて、もう一度ステージに立ってくれる。知らないところでちゃんと自担の力になっている。Jr.担の端くれとして、このアカリさんと次郎さんの関係は胸に迫るものがあった。お手振りや指差しなんかより、ずっとずっと尊いファンサだ。そこに居てくれることがファンサ。それでいいのだ。そう、ライブ中に次郎さんの目線と微笑みという個人ファンサが貰えるのは成瀬だけ!!!

…というわけでもうそろそろなんとなく言いたいことは察して頂けるのではないかと思うので、もし少しでも興味を持った方は是非劇場に足を運んでみてください。ドリステはいいぞ!!

*1:過去に私立バカレア高校が映画化した際、Jr.を知らないから見ないだろうと思った友人にストーリーを全部喋ったら興味を持ってくれて映画館まで同行してくれたという経歴があるのであえて書きます。